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町家の再生と活用
はじめに町家とは改修の手法町家等再生・活用ガイドライン町家等を有する都市(PDF)
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はじめに
都市再生における町家再生・活用の意義 はじめに町家再生・活用の背景
町家を再生・活用することは、都市再生の観点から見ると、次のような意義を持つ取組であるということができます。
●都市居住の再生
経済の高度成長期、都市が郊外に拡大し人口のドーナツ化と都心部の過疎化が進みましたが、今後、大都市だけではなく中小の都市においても都市居住が求められています。町家再生による都市居住は、その一つの形態として考えられます。
●都市産業の再生
多くの町家は、職住一致型の商業や手工業など都市の産業活動の場として形成されたものであり、現在でもなお多くの町家がそうした産業機能を持っています。しかし、町家で営まれてきた伝統産業をはじめ従来からの産業は構造的な不振を抱えているものが多く、昔ながらの産業機能は減少しつつあるといえます。
しかし一方では、町家の魅力を活かした産業の場としての見直しも進んでいます。新たな観光・商業施設として町家を活用した事例は多く、伝統的な街なみの魅力を活かした面的な観光地としての再生や商業地形成の成功事例も少なくありません。
さらに、近年では、IT技術の発達のなかで、デザインやソフト開発等の活動を展開する人々の工房やSOHOとしての活用の試みも見られます。
町家の再生・活用は、こうした都市の産業再生の観点から、位置づけることができます。
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●都市コミュニティの再生
町家における暮らしでは、道路の清掃など日常の暮らし方のマナーを共有したり、地域の行祭事を共同で担うなど、親密なコミュニティが形成されている場合が少なくありません。
こうした伝統的なコミュニティは、安定した都市居住を支える役割を果たしてきたものであり、今日的な都市居住の観点から再評価し、活かしていくことが求められます。
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●都市景観の再生
町家は、高密度な近隣環境に配慮した建築形態を持っています。
例えば、軒高やケラバの出入りを隣戸と調整したり、側面には開口部を設けないなど防火やプライバシーへの配慮もなされています。また、表構えへのうだつの設置や敷地背割線側への蔵の配置などといった延焼防止の仕組みもその一つです。
町家が群として集積する地区では、地域ごとに共通した建築様式とその微妙な多様性が醸すリズミカルで調和のある街なみ景観が特徴的です。
町家の雰囲気を活かしながら、点から線、線から面へとつなげていくことで、新しい建築物も含め、街なみ景観に調和した魅力的な都市景観の再生につなげていくことができます。
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●都市文化の再生
町家の文化的な価値として、伝統的建築物そのものの価値があげられます。
町家には、数寄屋的な好みを反映した町家、宿場町の町家、生業の繁栄を示す豪壮な商家、風格ある武士系住宅など様々なタイプがみられます。また、内部空間では、居室のしつらえの工夫や密度高く演出された坪庭空間なども文化的な価値を持つものです。
それぞれの地域で見られる建築様式やディテールは、地域における町家の具体的な機能や、地域で育まれた美意識を通じて進化し洗練された、いわば文化の結晶であるといえます。
また、そうした町家での暮らしを通じて育まれた生活文化や芸術にも目を向ける必要があります。四季折々の暮らし方や年中行事、祭事をはじめ、茶の湯や華道など、町家の空間に溶け込んだ味わい深い生活文化の原型です。
町家の再生・活用は、こうした文化的価値を、うるおいと豊かさを持つ個性ある都市文化の再生や創出につなげていく視点となります。
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●都市における資源循環の仕組みの再生
伝統的な木造軸組建築は、維持・修繕・再利用を前提とした建築システムであったといえます。
腐朽した部材の取り替えや屋根の葺き替え、壁の塗り直し等が可能な建築的工夫が蓄積されています。また、建具や畳等の寸法体系も統一され、繰り返し利用や転用利用が一般的に行われてきました。
さらに、規格化された建物構造やしつらえを熟知した大工等の技術者集団が、日常的なストックの維持・管理の役割を果たし、建物の長寿化を可能としていました。
今日、町家の絶対数が減少していくなかで、こうしたシステムは極めて弱くなっていますが、「資源循環」、「ストック活用」という都市の今日的な課題に照らしてみると、学ぶべき極めて有効な側面を持っています。
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