靴のはきかえ場所の違い
 日本では家に帰ったとき、「だたいま」といって玄関で靴を脱ぎますね。日本の昔ながらの玄関は、靴を脱ぐ土間と一段上の床があり、その境界には「上がり框(かまち)」という段差を設けました。現代の住まいでは土間と床の段差が小さいものも多く、あまり目立ちませんが、伝統的な「上がり框」はりっぱな木材を使い境界を示すように造っています。靴をはいたまま入る土間は「外」、靴を脱いで上がる床は「内」という意味を表したのです。
 一方、玄関で靴を脱がない西洋の住まいの「内」と「外」の境界は、扉になります。西洋の人たちが靴を脱ぐのは、ベッドに入るときと体を洗うときです。いろいろな部屋での日常生活の場面では、靴をはいて過ごします。
 このように靴をはきかえる場所が違うと、「内」と「外」の境界が微妙に異なります。そしてそのことが、食事のし方、部屋でのくつろぎ方、家具や部屋のかたちなどの違いに表れているんですよ。

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