ネパールの台所(ネワール族の台所)
 ネパールは、北側にヒマラヤ山脈が走る山岳地帯の王国です。南側はインド、ヒマラヤの北側は中国と接し、首都はカトマンズにあります。カトマンズの住民の多くはネワール族の人たちです。
 このネワール族の住まいの台所は、何階建てでも屋根裏部屋にあります。ふつう火や水を使う台所は1階の方が便利だと思ってしまいますが、ここでは、台所の上を人が歩かないようにする習わしがあるためか、最上階にあるのです。 この屋根裏の空間は、天井が低く、窓も小さめで薄暗い場所です。その中に、手で土をこねたような竈(かまど)が据えつけられ、女の人が床に座って調理をします。
 ネパールの料理方法は、材料を石臼(うす)や石皿などで潰して、焼いたり、煮込んだりするものが多く、台所で使う設備や道具は昔ながらのものがほとんど。そして豆のスープや炊いたご飯、カレー味の野菜煮込みをつくります。
 かつて日本の台所の研究者がネパールへ行き、台所の竈や鍋などを見て、古墳時代にタイムスリップしたようだと驚きました。それほどに日本の台所の原型を今に伝え、使い続けられています。そして、豆や雑穀を挽いたり潰したりして、素材そのものを一から調理してつくる伝統の食事は、とても豊かで美味しいと報告していました。

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