家相がこだわるポイント
 江戸時代の家相では、家をつくる時に、特に気をつけないといけないポイントがありました。それは「三所三備(さんしょさんび)」といって、鬼門(きもん)の北東、裏鬼門(うらきもん)の南西、中心の3つの場所と、竈(かまど・煮炊きをする場所)、井戸、厠(かわや・トイレ)の3つの設備を指しています。
 3つの場所のうち、中心は「住まいの中心」で説明しました。鬼門と裏鬼門は、鬼が出入りすると考えられて嫌われていた方位と、その対角線の方向なので、注意をしたのです。(「家相のはじまり」参照。)
 3つの設備は日々の暮らしの中でなくてはならないものですが、健康や防災などの面から、どこにあればいいのか、どんな場所はいけないのかが問題となりました。たとえば、かまどは、風向きをよく考えて、薪(まき)が燃えにくかったり、煙(けむ)ったりしない位置につくるよう書かれています。また、井戸はかまどからなるべく離し、煤(すす)や灰などが入らないように注意します。厠を家の真ん中につくるのはダメというのは、衛生面に配慮した場所選びを意味しています。江戸時代、かまどや井戸は家の人の健康のため、細心の注意を払う必要がある場所でした。現代の住まいでは、便利な冷暖房もあるし、電気を使えば火がなくても煮たり焼いたり炊事ができたり、水も水道からふんだんに使えるようになりました。それでも、火事には注意し、きれいな飲み水やトイレの衛生に気をつけることは、現代にも通じる大切なことですね。

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