水の上で暮らす
 炎暑の夏。夕涼みをするために、海岸にでたり、川岸を歩いたりしたことはありませんか。水を見ているだけでも涼しい気持になりますが、同時に水分が暑さで蒸発するときに、周りの熱を奪う蒸散効果(じょうさんこうか)があり、この現象が実際に水辺の涼しい環境をつくるのです。また、昼間は陸地の方が温度が高いので水辺から陸への風が吹きます。そうした空気の動きによって風が通り、いっそう居心地のよい場所となります。
 地球上には、こうした水の特性を利用して水上に住まいをつくる人たちがいます。暑さの厳しい東南アジアやアフリカの人たちです。住まいのつくり方は大きく2種類あって、ひとつは船のように水に浮かべて、ゆらゆら動く住まいです。とはいえ勝手に家が動いてしまっては困りますので、錨(いかり)を下ろしたり、ロープで陸地としっかりつなぎとめておきます。もうひとつは川床や湖底などに杭を打ち、その上に住まいをつくるというものです。どちらの住まいも、満ち潮や洪水で水面が上がっても、家の中が水浸しになることはありません。そして、これらの住まいには人びとの移動のための小さな船が、日々の暮らしに欠かせない生活道具となっています。水上で暮らす人たちの多くは、この小さな船で水上を移動し、漁や魚などの養殖をして、毎日の食べ物と収入を得ています。
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