お膳の始まり
 日本では、平安時代のころから、大部分が一人用の食卓で食べていたといいます。その後長い間、食事で使う道具や食べ方などはあまり変らなかったのですが、江戸時代のころには折敷(おしき)という食器をのせるための道具が、いろいろな形のお膳に変化・発展していきました。
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 主に庶民が使っていたという折敷は、四角いお盆のような形をしています。この折敷に、いろいろな形の脚がついて、バリエーション豊かなお膳になりました。一番格の高い蝶足膳(ちょうあしぜん)は祝い事や正月用として、宗和膳(そうわぜん)はお客さま用として、特別な日に使われました。猫の足に似た猫足膳(ねこあしぜん)や2枚の板を脚にした木具膳(きぐぜん)などは、家族や使用人の人たちが日ごろ使っていたものです。もっと身分の低い使用人には、割ったクルミの殻(から)を脚にした胡桃膳(くるみぜん)というのもありました。それからもともとお坊さんが使っていたという箱膳(はこぜん)は、食器がその中にしまえるので、忙しい農家や町人たちにとても便利なお膳として、広く使われるようになりました。
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