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明治、大正の頃までわが国の都市では、いわゆる「町家」に代表される伝統的工法による建築物は最も典型的な住まいであり、かつ生業の場でした。戦災を受けなかった都市では、戦後もなおこうした町家が都市に多く残りましたが、今日ではいずれの都市でも急速に減少しつつあります。 しかし、急速な減少の一方で、近年、町家伝統的工法による建築物の価値を見直し、保存や保全を図る取組が広がっており、伝統的な様式を備えた建物の外観や内部空間を活かして、新しく再生・活用を行う試みも多数見られるようになっています。住まいや併用住宅としての再生はその代表ですが、そのほかにも、観光・商業施設、コミュニティ施設、各種公益施設等の多様な再生・活用事例が見られます。また、町家が集積する地域における、町家を活かした魅力的な街なみ景観の創出や集客力のある商業・観光地づくりの取組は、全国で見られるようになっています。 さらに、文化財としての保存のほか、伝統的建造物群保存地区や地域に即した景観保全施策等により保存が図られています。 |