現代に生かせる家相
 明治時代に入り近代化を推し進めるようになって、「家相は迷信(めいしん)である」として、公(おおやけ)にはあまり取り入れられませんでした。しかし、一般の人の間では相変わらず流行していて、占い的な要素の強い家相や風水の影響は、今日まで受け継がれています。
 家相書をよく読んでみると、占い的なことばかりではなく、現代の暮らしにあてはめても、納得できる内容も多いのです。
 たとえば、「鬼門(きもん)に便所あれば、主人中気(ちゅうき=脳出血などによって起こる病)または手足引きつる病あり」という記述は、北東の隅は日当たりが悪くたいへん寒いので、健康や衛生面で問題が多く、病気にかかりやすいというもの。確かに昔の住まいには、冬の寒い時期にトイレで倒れる事故も多く、こうしたことを防ぐ意味があったのです。しかし現代では暖房を入れるなどの工夫をすることで解決できます。このように、内容を冷静に読んでいけば、いろいろな住まいに関する知恵がつまった考え方だとわかります。
 みなさんも、場所によって居心地がいいとか、悪いとか、感じることはありませんか。そうした感じ方の理由を考えることが、実は家相や風水の考え方につながっているのです。

「家相の始まり」「江戸時代の家相ブーム」「現代に生かせる家相」