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長期優良住宅

長期優良住宅の認定基準

9つの基準

長期優良住宅の認定基準には、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の9つの性能項目があります。

認定基準(概要)表

性能項目等概要住宅性能評価では
劣化対策○数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること
→構造躯体が少なくとも100年継続使用するための措置が講じられている。
劣化対策等級3+α
耐震性○極めてまれ(数百年に1度)に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図る。耐震等級(倒壊等防止)2など
維持管理・
更新の容易性
○構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと
→給排水管などの点検・補修・更新がしやすい
維持管理対策等級(専用配管・共用配管)3
更新対策等級(共用排水管)3
可変性(共同住宅・長屋のみ)○ライフスタイルの変化に応じて間取りの変更がしやすいこと
→天井高(スラブ間)が高く(設備配管の変更などを伴う)間取り変更がしやすい
更新対策(住戸専用部)躯体天井高 2,650以上
バリアフリー性○将来のバリアフリー改修に対応できること
→共用の廊下、階段、エレベーターのスペースが広くバリアフリーに対応できる
高齢者配慮対策等級(共用部分)3(手すり、段差等を除く)
省エネルギー性○必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されていること
→省エネルギー判断基準(平成11年相当)に適合する
省エネルギー対策等級4
居住環境○地域の良好な景観形成に配慮されていること
→地域の街並みに調和する
なし
住戸面積○良好な居住水準を確保するために必要な規模があること
→戸建ては75平米以上、共同住宅は55平米以上
少なくとも1つの階は40平米以上(階段部分を除く)
なし
維持保全計画○定期点検、補修の計画がつくられていることなし

認定基準の概要(新築基準増築・改築基準)

長期優良住宅と認定されるためには、各性能項目の基準を満たすように住宅の建築計画及び一定の維持保全計画を策定して、所管行政庁の認定を受ける必要があります。認定を受けた計画に従って建築をし、維持保全を行います。

9つの認定基準の内、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性については、住宅性能表示制度の基準を基本に設定されています。

「劣化対策」では、柱や梁などの構造躯体が少なくとも75年~95年程度(3世代)継続して使用できる措置に加えて、例えば、木造住宅であれば、床下や小屋裏に点検口を設置し、床下空間に33センチ以上の高さを確保するなどの追加措置が必要になります。

「耐震性」は、建築基準法で想定している大地震がおきても、少しの改修で住み続けられるよう、損傷の軽減を図るため、例えば、住宅性能表示制度の耐震等級(倒壊等防止)の1~3等級の等級2などが必要になります。

「維持管理・更新の容易性」は、構造区体が100年程度継続使用できたとしても、給排水管などはその間に取替や補修が必要になるため、点検・補修がしやすいことがもとめられています。原則、住宅性能表示制度の最高等級3の性能が必要です。

「可変性」は共同住宅及び長屋のみの基準です。将来のライフスタイルの変化に応じて間取りが変更できるような措置が必要です。間取り変更の際に給排水、電気などが天井や床に配管配線できるように、構造躯体等のスラブ間の内法の高さが2,650mm必要になります。

「バリアフリー性」は共用部分に対する基準として、将来バリアフリー改修に対応できるようなスペースが確保されていることが必要で、住宅性能表示制度の高齢者対策等級(共用部分)の1~5等級の等級3に相当します(段差の有無、手摺り設置などは除く)。共用廊下の幅・勾配、エレベーターの開口幅に必要なスペースが確保される必要があります。

「省エネルギー性」は、平成11年省エネルギー基準(省エネ法に基づく省エネ判断基準)相当の性能が求められています。住宅性能表示制度の最高等級4の性能を満たす必要があります。暖冷房時の省エネ化をはかるため屋根、床、壁、天井、開口部の断熱性能を高くします。

「居住環境」では、住宅の建つ地域で決められた景観などのルールに則って街並みに調和することが求められています。各地の所管行政庁が地区計画・景観計画・条例によるまちなみ等の計画・建築協定・景観協定などを定めている場合はそれに従った計画をする必要があります。

「住戸面積」は良好な居住水準を確保するための住戸の面積を定めています。戸建てでは75平米以上(少なくとも1の階が40平米以上:階段部分除く)で共同住宅の場合は55平米以上となっています。この基準は地域の実情によって所管行政庁が引き上げや引き下げを行うことがあります。

「維持保全計画」では、建築後の定期的な点検・補修などの計画を行うことが求められています。「構造体力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」「給水・排水の設備」について維持保全計画を作成して点検の時期・内容を定める必要があります。また少なくとも10年に一度は点検を行うことが求められています。