お城の中でもっとも目を引くのは、ひときわ高い天守閣(てんしゅかく)です。お城といえば、すぐに天守閣の姿が思い浮かぶかもしれませんが、実は戦国時代末ごろまで、お城には天守閣という建物はありませんでした。初めて本格的な天守閣が造られたのは、1576年に戦国・安土時代の武将・織田信長が築いた安土城だと言われています。このお城は屋根がいく層もあるたいへん立派なものでした。 天守閣は敵方の動きを見張ったり、領地を見渡す櫓(やぐら)が発展したもので、多くの場合、敷地の一番高いところに、一番高い建物として建てられました。武士同士の大きな争いのない時代になると、見張りという実用的な役割はうすれ、その独特の外観が城主の力を示して地域のシンボルになり、家臣や城下の庶民に親しまれていきました。昭和に入ってから、50以上の天守閣が再建されたのも、日本独自の文化として大切に思われてきた証しなのかもしれません。
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