江戸時代の家相ブーム
 江戸時代に入ると、戦乱の世から社会が少しずつ落ち着いていき、生活にもある程度ゆとりがでてきます。特に、財産を蓄えた商家では、立派な住まいや蔵をつくり、財産や「お家(いえ)」を守ろうとしました。そのころの家相は、住まいづくりに必要な知識や知恵を伝えることが第一の目的であり、日当たりや風通しを大切にすることが強調されました。
 江戸時代中、後期には、家相や人相、手相などの占いブームと印刷・出版技術の向上によって、家相書がたくさん出版されました。それは、家づくりや心地よい住み方に関する方法を書いた教科書のようなものです。ただ中には、一般の人にも分かりやすくするためや、説得力をもたせるために、「〇〇しないと、祟(たた)る」というように、読む人を脅すような表現をするものもありました。
 さらに家相見(かそうみ)という職業も現れて、新築や増築、改築の時に間取り図を見て家相としてどうかを、アドバイスするようにもなりました。今でいう、住宅コンサルタントやリフォームアドバイザーのような役割も担ったのです。そして次第に内容が複雑化し、大げさな占いのような、あまり現実的でないものに変わっていってしまいました。

「家相の始まり 」「江戸時代の家相ブーム 」「現代に生かせる家相 」へ