CASBEE建築物総合環境性能評価システムは、ビルなどの一般建築の環境性能をはかるツールとしてスタートしましたが、大変わかりやすい評価ツールであると評価を受けて、2007年9月25日にすまい[戸建]の正式版が発表されました。
地球温暖化対策のために省エネルギー化の努力を求められている昨今ですが、環境負荷をただ減らせというだけでは、元気が出ません。環境負荷を減らすだけならば、何もしないのが一番いいからです。しかし、人生の8割を家の中で過ごすわたしたちにとっては、地球環境問題も大事ですが、住まいの住み心地も非常に重要で、その住み心地も考慮したCASBEEは、高い評価を受けています。
CASBEE-ファミリー

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CASBEEすまい[戸建]を開発する際、わたしたちが気を使ったのは、「とにかくわかりやすい」ことです。一般建築のCASBEE-ファミリーは設計・施工者も施主もほぼ専門家だったのが、CASBEEすまい[戸建]の場合、施主は一般の方が多くなるからです。
また、これまでのCASBEEファミリーのCASBEE評価員は、一級建築士のみでしたが、CASBEEすまい[戸建]では、二級建築士や木造建築士もその対象となります。そういったことでも、CASBEEを利用する人の幅が広がってきています。
CASBEEの一番大きな目的は、「性能の可視化」と「情報非対称の解消」です。
CASBEEは、例えていうならミシュランの評価に似ています。ミシュランガイドは、レストランに「星」というわかりやすい評価を与えることで、誰にでもわかるツールとなり、世界中に浸透しました。同じように、CASBEEすまい[戸建]も、便利で誰にでもわかることを目指しました。
自動車を買うときに、燃費を考えずに買う人はほとんどいないと思います。同じように家にも燃費のようなものがあります。その燃費を一目で判断できるのが、CASBEEなのです。
性能表示制度など先行している制度には、評価項目を一致させるようにしています。ダブルスタンダードにならないように、使う人が迷わないように、そのあたりには非常に気を使いました。
CASBEEでは、環境負荷について考えることが大事です。性能表示制度とはそこが根本的に違うのではないでしょうか。
CASBEEは、サステナブル住宅つまり地球に対してリスクの少ない住宅をきちんと評価できる仕組みになっています。
QとL
Q(Quality) 建築物の環境品質・性能
L(Loadings) 建築物の外部環境負荷
BEE(環境性能効率)=Q÷L
現代の私たちが消費している有限なエネルギーや資源は、次世代から先取りしていることに他なりません。次の世代に何を継承できるか、していくべきか?地球温暖化や異常気象などもこのことを訴えかけています。
つまり、いくら快適でも、環境負荷が大きければBEE(環境性能効率)は低くなってしまうのです。
仮想閉空間
いわゆる敷地境界。
その概念で、敷地の中はQ、外はLとした。人様に対して悪い影響はすべてLとした。Q(環境品質)とL(環境負荷)は、敷地の中と敷地の外と考えることができます。この敷地の中と外を分ける境界線を「仮想閉空間」といい、割り算を使う方法がうまくいったのは、この概念を持ち込んだからといっていいでしょう。
このように、割り算を用いる評価をしたのは、建設分野ではCASBEEが初めてです。 LとQの割り算でもう一ついいことは、良い性能はQ、悪い性能はLと考えることができるため、プラスマイナス両方からのアプローチが可能なことです。例えば、大きな窓をつけると光は十分とりいれられる反面熱が逃げやすい、などの背反条件も、うまく評価することが可能です。 世界で初めての環境評価ツールはイギリスのBREEAMといわれ、現在はアメリカのLEEDなどいくつかの国で環境性能評価システムが利用されていますが、すべて足し算の方法を採用しているようで、割り算を使ったCASBEEのシステムは、非常に注目されています。 計算結果はどんどん見直すことでCASBEEを成長させていく予定です。今の標準が10年後の標準ではないからです。現在ではまだ普及が進んでいない技術や機器についても、普及していけばどんどん取りいれていく予定です。 そのために、CASBEE評価には何年版での評価であるかを明示することとしています。
一部自治体「自治体版CASBEE」では、一定規模以上の建築物を建てる際に環境計画書の届出を義務づけていて、その際にCASBEEによる評価書の添付を必要としているところがあります。また、CASBEEで評価した建築物に対し容積率を高くしたり、補助金を出すようなインセンティブを設けているところもあります。そういった自治体は現在全国に13あり(2007年11月現在)、それら自治体への届出件数は1400を超えています(2007年3月現在)。 民間では、設計支援ツールとして使うことが考えられます。施主とのやりとりで性能をはっきり明示できるからです。また、建築費用を融資する金融機関も高い関心を持っています。例えば、大手のマンション業者が銀行に融資を申し込む場合に、計画段階でCASBEEでの評価を要求し、その結果で融資の有無や金利の優遇などを決定するといったことなどです。 大学などでは、学生が建物の設計演習をするときに、CASBEEを利用しています。自分で計画した建築物の評価が悪い場合、どこをどうすればいいのかといった演習に使います。CASBEEにはさまざまな要素が含まれているのでいい練習になると思います。また、近頃ではCASBEEを使った論文も出てきています。
住宅メーカーは極めて高い関心を持っていますが、一般の方や工務店の大工さんには、これから普及させていかなければなりません。
まずは、建売住宅などをCASBEEで評価し、統一した形式で性能を表示できるようにすれば、ユーザーは比較選択が容易になりますし、それが浸透してくれば、施工側の意識も変わってくるのではないかと考えています。