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定期借家制度

定期賃貸住宅標準契約書

1.趣旨・経緯

 賃貸住宅契約については、従来より「賃貸住宅標準契約書」が作成され、活用が図られているところですが、定期借家制度にかかる賃貸住宅契約(定期賃貸住宅契約)は、従来型の賃貸住宅契約と大きく異なるものであるため、賃貸人・賃借人間の紛争を未然に防止するためには、民間賃貸住宅の賃貸借にかかる諸法令等を踏まえた、内容が明確、十分かつ合理的な賃貸借契約書の雛形を作成し、それを広く関係者に知っていただくことが有効な方法であると考え、平成12年、当時の建設省において検討委員会(座長:玉田弘毅清和大学教授)を設置し、定期賃貸住宅標準契約書を作成しました。

2.性格

  • 定期賃貸住宅標準契約書は、建て方、構造を問わず居住を目的とする民間賃貸住宅一般(社宅を除く)を対象とするものです。

  • 定期賃貸住宅標準契約書は、借地借家法(以下「法」といいます。)第38条に規定する定期建物賃貸借による民間住宅の賃貸契約書の標準的な雛形として作成されたものであり、その使用が望まれるところですが、使用を強制するものではなく、使用するか否かは契約当事者の自由です。また、使用する場合も、当事者の合意により、そのまま使用してもよいし、合理的な範囲で必要に応じて修正を加えて使用してもよいものです。

  • また、実際の契約締結に当たっては、地域慣行、物件の構造や管理の多様性等により、個々具体的なケースで契約内容が異なりうるものであるため、全国を適用範囲とする契約書の雛形として、最低限定めなければならないと考えられる事項について、合理的な内容を持たせるべく規定しています。したがって、より具体的かつ詳細な契約関係を規定するため、特約による補充がされるケースもあると想定されることから、特約条項の欄も設けられています。

3.構成

 定期賃貸住宅標準契約書は、契約物件の概要等をまとめて記入する頭書部分、全16条からなる条文、別表、記名押印欄から本体が構成されています。
 また、契約書の本体とは別に、「記載要領」、「コメント」、「通知(例)」、「承諾書(例)」が作成されています。
 「記載要領」は、貸主、借主が定期賃貸住宅標準契約書を利用する際の便宜を図るため、頭書、第16条(特約条項)等の記載の方法を示したものです。「コメント」は、定期賃貸住宅標準契約書の内容等を明らかにして利用の際の的確な指針となるよう作成したものです。また、定期賃貸住宅契約では、期間の満了についての通知が契約の終了の要件となっていることから、標準的な様式として「通知(例)」を掲載しています。さらに、借主が増改築等の行為を行おうとする場合の手続の便宜を図るために「承諾書(例)」が掲載されています。
 なお、定期賃貸住宅標準契約の締結に際しては、契約書とは別に、書面を交付して説明することが義務付けられていることから、その標準的な様式として「定期賃貸住宅についての説明」も併せて作成しています。

4.定期賃貸住宅標準契約書のポイント

  • 契約書に契約が「期間の満了により終了し、更新しない」旨を明記し、定期借家 契約であることを規定。
  • 再契約できることを明記し、再契約した場合の契約関係を整理。
    (原状回復債務の内容、敷金の清算等)。
  • 賃料改定について、公租公課の増減等に応じた協議による改定を規定。
    〔あわせて「借賃の改定に係る特約」(契約期間中は賃料改定しない方式、一定の算定式により改定する方式)も選択できるよう規定〕
  • 賃借人からの中途解約権(1月前の解約の申入れによる解約)を規定。
    〔あわせて法38条第5項に規定する解約事由に限定することも選択できるよう規定〕
  • 礼金等の一時金(敷金を除く)は契約書上規定しないこととした。
  • 連帯保証人の債務の範囲の明確化等の規定を置いた。
  • その他、定期賃貸住宅契約についての事前説明書等の雛形を作成。

5.活用する場合の留意点

  • 平成12年3月1日より前に結ばれている賃貸借契約については、当事者間の合意により定期賃貸住宅標準契約書に切替えたとしても、その契約は定期賃貸住宅契約とはならず、更新拒絶には正当事由が必要な従来型の賃貸借契約となります。

  • 新たに契約する場合も、「更新がない」、「期間の満了により賃貸借契約が終了する」旨を書面により説明しなかった場合は、定期賃貸住宅標準契約書を使用しても、その契約は、定期賃貸住宅契約とはならず、更新拒絶には正当事由が必要な従来型の普通借家契約となりますので、「定期賃貸住宅契約についての説明」を使用することをお勧めします。

  • 契約の期間の満了の1年から6月前に、契約が終了する旨の通知をすることが契約の終了の要件とされていますので、「定期賃貸住宅契約終了についての通知」を使用することをお勧めします。