台所の起源とかたち
台所の始まり|日本の台所の近代化アジアの台所
 人類が2本の足で立ち、歩き始めるようになったのが、およそ200万年前。その時から長い時間をかけて進化し、現代の私たちがいます。こうした人の営みの中で欠かせないのが「食」。食べものは当初、生で食べるしかなかったのですが、次第に切ったり砕いたりして食べやすくし、火を使うようになってさらに焼いたり煮たりして、いろいろな工夫をするようになりました。そして食べ物を調理する専用の場所を住まいの中につくっていったのです。
 今回は、食をつくる場所である「台所」に焦点をあて、住まいと食の結びつきや日本の台所の変遷、アジア各国の台所などをご紹介していきます。
台所の始まり

 みなさんは、台所にいちばん必要なものは何だと思いますか。今の台所では、大きな冷蔵庫や電子レンジなどが目立っているかも知れませんね。しかし、もっと大切で基本的なものは、コンロと水道です。つまり火と水は、生では食べにくい穀物や野菜、肉、魚を、衛生的で食べやすくするための調理の要(かなめ)なのです。ここでは、先史時代から近世まで、住まいの中で人がどんなふうに火を使ってきたのか、どんなところに台所をつくってきたのかを見てみます。