長屋の暮らし
長屋1戸の大きさは、1部屋のものから2階建のものまで、さまざまでした。小さなものは、間口の幅が約2.7m、奥行きが約3.6mくらいです。これを畳の数にしてみると、わずか6畳。この中に、玄関と台所、部屋ひとつがあり、一人暮らしの人から一家3人くらいが暮らしていました。
 たったひとつの部屋の大きさは4畳半。ここで寝て、ご飯を食べ、そして内職の仕事もしていました。押し入れなどの収納場所もありませんから、朝起きると布団は畳んで部屋の隅に置いていました。衣類の数もたいへん少なく、タンスがなくてもそれほど困りませんでした。
 玄関と台所兼用の土間と板敷きがある1畳半のスペースには、水がめやかまど、簡単な食器やナベ、桶、ザル、燃料となる薪、火を起こす道具などを置きました。そして、部屋に上がる板敷きの下にも収納スペースをつくるなど、狭い場所を有効に使う工夫がみられます。
 住まいが狭いうえに、隣と簡単な壁1枚で隔てられているため、あまりプライバシーはなかったのですが、かえってお互いを思いやり、ご近所同士助け合う関係をつくっていたのです。

「長屋の始まり」「長屋の周り」「長屋の暮らし」