地中で暮らす
 さて、近くに水や緑のない暑い土地や場所では、いったいどこに住まいをつくったのでしょうか。実は、地面やがけを掘って、地中に住まいをつくったのです。地中といっても、2種類あって、ひとつは丘陵地帯のがけに穴をあけ横に掘り進めた洞窟(どうくつ)のようなかたちの横穴式の住まいです。もうひとつは、平らな地面を掘り大きな穴をあけて、その穴の側面を横に掘り進め部屋をつくる方法です。下に掘った穴の底は中庭として使い、その中庭から各部屋に入れるようになっています。
 横穴式の洞窟のような住まいは、スペインのアンダルシア地方や中国内陸部などでみられます。中庭のある住まいは、中国内陸部、黄土高原に多くみられ、独特の住まいのかたちとして、下沈式(かちんしき)ヤオトン住居とよばれています。
こうした地中の住まいがみられる地域では、昼と夜、夏と冬の温度差が大きく、湿気があまりありません。ですから、陽射しさえ遮ることができれば、暑さはかなりしのげます。特に地中は温度の変化が少ないので、外にいるより過ごしやすくなります。また、地中の住まいは暑さだけでなく、凍てつくような寒さにも効果的で、厚い土の壁が寒気を防いでくれるのです。

「水の上で暮らす」「樹木の上で暮らす」「地中で暮らす」