使われ方
 1960年代、70年代に公団住宅に入居したのは、核家族という夫婦2人とその子どもだけの小人数の家族が大部分でした。このころの日本は、敗戦後の混乱からようやく立ち直り経済が活性化した時代で、ものがたくさんつくられ、豊かな欧米の暮らし方を積極的に取り入れられました。家庭でつくる料理も、ハンバーグやスパゲッティーなどの洋風のメニューが加えられ、食器もその料理に合わせた洋食器が揃えられたのです。ダイニングテーブルには、従来のごはん茶碗やみそ汁椀に加えて洋食器も並べられました。お皿を置いて食べるか、持ち上げて食べるか迷いますね。
 また、ダイニングテーブルのすぐ横にはキッチンがあるので母親の目が届きやすく、子どもが学校から帰って夕食までの間、本を読んだり、宿題をする場所にもなりました。 旧来の床の間がある座敷には上座や下座などの座る順位があり、高い位置には父親やお客さまが座ったものですが、テーブルが置かれたダイニングにはそうした決まりはありません。また、ふだんの食事はダイニングでとり、お客さまと食事をしたり、特別な行事があるときは、他の部屋で行いました。

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