庭のかたち
昔から人がたくさん住んでいた京都や金沢などの大きな都市では、商売をする人や職人のために、店や作業場のついた住宅が建てられました。これが町家の始まりです。道路に面してできるだけたくさんの町家を建てるために、間口は2間(約3.6メートル)や3間(約5.4メートル)と小さくなりました。それに対して奥行きは深く、たいへん細長い住まいだったのです。お店や作業する所など、家の仕事に関係する部屋は表の道路側にあり、その奥に家族の人たちが使う部屋がありました。ですけど、細長い家ですから、奥へ行けば行くほど暗くて、居心地が悪くなってしまいます。そこで、小さな庭が家の中につくられたのです。


絵:マーク・ピーター・キーン氏によるイラストをもとに作成