構造計算書偽装問題が発生した際、住宅品質確保促進法で定められた10年間の瑕疵担保責任は、売主等の倒産時などでは、保証が確実に履行されず、住宅所有者が極めて不安定な状況におかれました。そこで瑕疵担保責任が確実に履行されるよう、新たに制定されたのが、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」です。
※特定住宅瑕疵担保の「特定」とは
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」第94条第1項または第95条第1項の規定による担保の責任のこと。この10年責任のことを「特定住宅瑕疵担保責任」と名づけている。つまり、「特定の責任」という意味であり、「特定の住宅」という意味ではない。
この法律の前段として、保険付保等の情報開示義務が、既に施行されています。
保険付保等の情報開示義務(平成18年12月施行)
建設業法と宅地建物取引業法において、保証保険契約について情報開示し、書面公布、説明等が義務付けられています。平成18年12月施行の時点では、「情報開示の義務化」で、必ずしも保険をかけなければいけないということではありませんでしたが、平成20年5月に保険法人の指定がされ、平成21年11月には特定住宅瑕疵担保責任を履行するための資力確保として、保険・供託義務づけられます。
特定住宅瑕疵担保責任履行確保法の品確法における位置付け
特定住宅瑕疵担保責任履行確保法は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下品確法)」を強化するものという位置付けになります。
品確法では、新築分譲住宅、新築注文住宅に雨漏りがしたり、住宅が傾いたり、構造的な問題が起きた場合、引渡しから10年間の間、無料で修理しなくてはいけないとしています。
この品確法第94条、第95条にある「構造耐力上主要な部分と雨水の防水にかかる部分の瑕疵について10年間無償で修理等を行う責任」を果たすため、事業者は資金を保険・供託で確保しなればならなくなりました。こうしておけば、住宅事業者が倒産していても、消費者は保険金で不具合を修理することができるのです。
※瑕疵とは
民法では・・・契約で定められたとおりに施工されていない場合をいいます。
品確法では・・・住宅として通常期待される品質や性能を欠いていることをいいます(第94条・第95条)
点検してみて「瑕疵」が見つかったら、不具合が起きていなくても修理しなければなりません。
品確法で10年保証が定められているのは、新築住宅の基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分)についてだけです。これは、「通常住宅が持っていなくてはいけないと期待される品質や性能」を欠いていることを「瑕疵」としているからです。
品確法では基本的な部分だけを10年間保証することを義務とし、今度の新しい法律でそこの部分についての資力を確保するため、保険や供託が義務付けられたのです。
それ以外のこと、例えば契約で定めたとおりに施工しなかったこと(民法でいえば瑕疵になる)などは、民法によって判断されることになります。
事業者は、毎年3月31日と9月30日の半年ごと(それぞれ50日以内)に、何戸分保険をかけたか、何戸分供託したか、分譲住宅と注文住宅別々に届出なければいけません。届出をせずに新たに売買契約や請負契約を結ぶと、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方を課せられることになります。
また、事業者は保険・供託を自由に使い分けることができます。
新しい保険法人
瑕疵担保責任履行確保法により、平成20年5月には、国土交通大臣によって新しい保険法人が指定されます。保険の対象は、品確法で規定された瑕疵。
(財)住宅保証機構も新たに保険法人となるべく準備中です。
(財)住宅保証機構はこれまで、確実な10年保証のために、設計施工基準や現場審査など技術支援のサポートシステムや、保険システムで登録事業者をサポートしてきました。
その仕組みは、登録事業者の建設した住宅で不具合が起きたら修補工事費の約80%を、登録事業者へ支払います。倒産している場合は修補工事費の約95%を消費者に保険金として支払うというものです。
さらに設計施工基準を定め、すべての住宅について現場審査を行い、これを通じて登録時業者が安心して保証できるようにサポートしています。
平成20年5月からは、新たな保険法人として、これまでサポートしてきた10年保証をさらに協力にバックアップしていく法人となるよう現在準備しています。
(財)住宅保証機構では、住宅性能保証制度とセットで利用できる「地盤保証制度」もスタートさせています。
住宅が傾く不具合が起こった場合、その原因が基礎設計であれば、瑕疵担保責任の保険で修理できますが、地盤調査や補強工事に原因があった場合は、これは「住宅の問題」ではなく「地盤の問題」になり、住宅性能保証制度ではサポートできません。
(財)住宅保証機構では、そういう場合のために、オプションメニューとして地盤保証制度も用意しています。
オーストラリアやオランダには、住宅の瑕疵についての保険があります。しかし、この保険は事業者が倒産しない限り、保険金はおりません。瑕疵についての責任は基本事業者にあり、その修補には事業者が徹底的にお金を出すことが求められています。事業者が支払い不能になり倒産したら、保険会社から保険金が出るという、消費者保護に大変厚い仕組みです。
イギリスの場合は、建設会社の責任は2年で免除になります。2年以上経ってから不具合が出た場合は、保険会社が3年目以降10年までの間保証してくれます。3年経過後に発見された瑕疵については、消費者が保険会社に請求します。保険会社が瑕疵かどうかを確認し修補が決定したら、設計図書で入札にかけます。その入札には、瑕疵の見つかった建物を建設した業者も参加できるという建設業者に厚い制度です。
入札にかけたほうが、工事費が下がるという利点と、施工方法が広く公開されるため、適切な工事方法が適用されるという利点があります。
フランスの場合は、保険料が分譲価格の3%近くかかっており、大変お金がかかる制度になっています。
その他の国では、2年前の国際会議では、南アフリカ連邦がイギリスの指導で保険制度を導入しはじめたところです。またスペインがフランス的なやり方で制度を導入する予定で、中国は日本の方法を勉強してやりたいということでした。
韓国は、自己保証を採用しています。自己保証とは、分譲住宅を買うときに事前にかなりの金額の前途金を支払うのですが、分譲事業者が倒産した場合、事前に支払った前途金は保証されるという仕組みです。このように前途金の保証はありますが、完成した住宅についての保証の仕組みはないようです。
