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町家の再生と活用
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町家等再生・活用ガイドライン 目次へ
第1 目的と位置づけ第2 町家等の再生・活用
第3 町家等を活かしたまちづくり
3.町家等を活かしたまちづくりの手法


(1)規制・誘導制度


1.住民の自主的なルールづくり
 地域において、町家等を活かしたまちづくりへの気運が醸成しつつある地域では、地域の特性を活かした住民による自主的なまちづくりのルールを定めることが考えられる。
 例えば、町家等を核とした街並みを再生するため、町家等を含めた通り沿いの建築物の高さ、街並みにふさわしい外壁の色彩、開口部の意匠、軒の高さ、建築物の用途などを定めることが考えられる。このようなルールは、建築協定や景観協定により地域の合意として明文化することも考えられる。
2.条例等によるルールの担保
 さらに、景観法による景観計画を策定することにより、これに基づく規制、保全等を行うことが可能となるとともに、景観地区、地区計画等の都市計画・建築規制の制度を活用することにより具体的な規制として担保することが可能となる。また、文化財的価値を有する場合等現状変更の規制を伴う保存措置が求められる場合は、景観計画区域内で良好な景観の形成に重要な建造物を指定しその保全を行う景観重要建造物制度や、文化財保護法により文化財として指定し地区全体の保存を図る伝統的建造物群保存地区制度の活用も考えられる。
3.町家等を含む市街地特性に応じた建築規制の緩和
 市街地の特性に応じ、建築規制の特例措置が設けられており、これらの活用により、地域の特性に応じた建築物の誘導を行うことができる。
ア.街並みに調和した建築形態規制の緩和
 町家等が立地する市街地は道路が狭隘であることが多いが、そのような場合に、
接道義務の緩和(建築基準法第43条第1項ただし書き)
道路幅員制限の緩和(同法第42条第3項、第43条の2)
私道の構造基準の緩和(同法施行令第144条の4第2項)
前面道路幅員による容積率制限の緩和(同法第52条第2項(区域等の指定))
建ぺい率制限の緩和(同法第53条第1項、第4項)
斜線制限の緩和(同法第56条第1項第二号(区域の指定)、別表第3備考三(区域の指定))
を活用することが考えられる。
 このほか、
地区計画等で建築物の高さの最高限度壁面の位置の制限等を定め前面道路幅員による容積率制限や斜線制限を適用除外とすることができる街並み誘導型地区計画(同法第68条の5の4)
景観地区内での斜線制限の緩和(同法第68条第5項)
既存建築物と設計調整して建築される建築物について、それらを同一敷地内にあるものとみなして接道や建ぺい率制限等の規制を適用することができる連担建築物設計制度(同法第86条第2項)
の活用も考えられる。
 また、景観重要建造物や伝統的建造物群保存地区内の建築物については、その保存等のために必要な場合には、斜線制限等外観に係る建築規制の適用除外等を行うことができる(同法第85条の2、第85条の3)。
イ.単体規定に係る性能規定の活用等
 建築基準の性能規定化に伴い、防火性能等について、高度な検証方法で検証した構造方法等については、法第68条の26の規定に基づき、国土交通大臣が認定を行うことになっている。この国土交通大臣の認定は、指定性能評価機関が行う性能評価に基づき行われる。
 この性能規定化を活用することにより、防火性能を確保しつつ、木造のたたずまいを維持できる仕様を用いる道が開かれている。
4.町家等や街並みの保存
 町家等そのものの保全及び町家等による伝統的な街並み景観の保全を図るためには、町家等の現状変更の規制や、これと併せて修復の支援等の制度を活用することが有効である。
 伝統的建造物群保存地区景観重要建造物による建築物の現状変更に関する規制のほか、条例等によるきめ細かな規制・誘導や改修等の支援を図ることも有効である。


(2)事業制度


 町家等の集まる通り沿いの建築物の整備と、舗装の改善などの道路景観整備やストリートファニチャーの設置、電線類の地中化、駐車場の整備などを併せて行うことで、より積極的に魅力的な街並みの創出を図ることが可能である。
 例えば、住宅の修景整備と街づくりを併せて行う代表的な事業制度として街なみ環境整備事業があり、多くの公共団体において取り組みが行われているところである。
 街なみ環境整備事業は地方公共団体の条例、まちづくり要綱や建築協定、都市計画等により景観形成を図るべきこととされている区域等において実施することとされており、町家等を活用して魅力的な街並み景観を形成しようとする場合には効果的な事業手法である。なお、具体的には以下のような事業が補助の対象となってる。
1. 地区内の土地所有者等で構成される協議会組織による良好な街並み形成のための活動
2. 街並み環境整備方針などの計画策定
3. 電線類の地中化など生活道路や小公園、集会所、案内板などの地区施設の整備
4. 地区住民の行う門、塀等の移設や個人住宅を含めた住宅等の修景(住宅等の新築、増改築、修繕のうち、外観に係る工事)
 さらに、まちづくりに必要な各種市町村事業をパッケージで一括助成するまちづくり交付金制度や、歩行者専用道の体系的整備、歴史的道すじの再整備、電線類の地中化、交通広場の整備を行うことができる身近なまちづくり支援街路事業、その他中心市街地の活性化に係る各種事業制度の活用も考えられる。


(3)まちづくりの取り組み体制の整備


 地域住民による町家等を活かしたまちづくりを展開していくためには、まちづくりをアピールするイベントや地域住民によるまちの点検などの取り組みを通じてまちの課題や将来像を共有し、まちのルールづくりなどの具体的取り組みに結びつけていくことが有効である。
 このような多岐にわたる取り組みにあたっては、町家等の所有者のみならず、市町村、建築・まちづくりの専門家、事業者、景観法に基づいて指定された景観整備機構等のNPOや団体、地域住民などの各主体が、それぞれの立場や専門性を活かしながら縦横に連携し、協力して進めていくことが重要であり、景観法に基づく景観協議会の場の活用も考えられる。
 また、町家等の改修を技術的な面から担う地域の大工等の職人を養成し、技術の継承を図ることも有効である。
 さらに、建築や不動産流通の専門家などによる、町家等の改修支援、町家等の所有者とそれを活用する者をつなぐ不動産情報の提供、古材や建具等のの流通支援などを行う組織の育成なども有効である。
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