1.町家等の空間特性の活用 |
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町家等がもともと持っている空間、意匠、工夫、素材等の良さを残し又
は活かすような改修を行う必要がある。 |
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ア.通り庭や土間の活用 |
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通り庭や土間による動線、通風路が確保されている場合、この機能や役割を活かした改修を行うことが望ましい。例えば、通り庭や土間をそのまま玄関や台所として利用するほか、階段、収納、水回り等として利用することが考えられる。また、居室等として利用する場合、全体の配置を十分に検討するとともに、床の設置に当たっては、室内の通風のほか、床下通風のための換気口の配置、メンテナンス等に留意することが望ましい。 |
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イ.吹き抜けの活用 |
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通り庭や土間等に吹き抜けを設け、採光、煙出しの機能が確保されている場合、吹き抜けの中空の横架材等による意匠を活かした改修を行うことが望ましい。例えば、吹き抜けを利用した階段の設置、炊事の排気設備の設置を行うことも考えられる。 |
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ウ.小屋裏の活用 |
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小屋裏は天井板で覆われている場合が多いが、例えば、その中の屋根の傾斜小屋組の構造材の意匠を活かした改修を行うことも考えられる厨子2階で天井高が低い場合は、天井板を上げて天井高を確保し、小屋組の形状を活かすことが考えられる。 なお、小屋裏の改修に当たっては、断熱性、換気にも留意する必要がある。 |
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エ.開放的な間取りの活用 |
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間仕切りとしてふすまや障子等の建具が用いられている場合、可変的で開放性の高い間取りを活かした改修を行うことが考えられる。なお、プライバシーの確保が必要な場合、居室の配置を上下階に分けるなどの工夫が考えられる。 |
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オ.庭等の活用 |
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中庭、坪庭、奥庭や井戸などを有する場合、この採光、通風、通路、防災等の機能や空間を活かした改修を行うことが望ましい。 |
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2.周辺との調和 |
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ア.道路空間との調和 |
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表構えに軒下空間、可変式の床几等が設けられている場合、これらを歩行者空間と一体的に利用できる空間に改修を行うことも考えられる。店舗等への用途に変更するなど表構えを大きく改修する場合にも、周囲の建築物との軒下空間や壁面の連続性に配慮することが望ましい。 なお、駐車場については、一般的に敷地ごとに屋外に設けることが困難であり、地区ごとに集合的に確保することが望ましいが、1階部分に設ける場合は、出入口を格子戸にするなど街並みに配慮することが望ましい。 |
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イ.隣地への配慮 |
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町家等は隣地とのプライバシー日照通風の確保などを図るため建築物の配置、形状、開口部の位置等について配慮されているが、これを活かした改修を行うことが望ましい。増築や間取りの変更を行う場合においても、このような点に配慮することが望ましい。 |
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3.安全性の確保 |
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ア.防火性能の確保 |
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建築物の用途、規模、立地する地域等に応じ、一定の防火性能を確保する必要があるが、その際、以下のような告示の基準が参考となる。 |
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大断面の製材等を用いたいわゆる「燃えしろ設計」により45分間又は1時間の防火性能を有する建築物の設計が可能(平成12年建設省告示第1358号、平成12年建設省告示第1380号等) |
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土塗壁による20分間又は30分間の防火性能を有する外壁、垂木・野地板に防火被覆をしない30分間、45分間又は1時間の防火性能を有する軒裏などの仕様基準(平成12年建設省告示第1358号、平成12年建設省告示第1359号、平成12年建設省告示第1362号、平成12年建設省告示第1380号) |
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このほか、一定の性能基準に適合させることにより必要な防火性能を確保することもできることとされており、これらの活用により、町家等の外観等をなるべく損なわない方法を選択することが望ましい。((3)3.参照) |
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イ.構造安全性の確保 |
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構造安全性を確保するため、建築物の老朽度や地盤等を十分に調査した上で、伝統的構法に留意しつつ、必要な補強方法を選択することが望ましい。その際、告示基準に位置付けられた土塗壁、面格子壁、落とし込み壁などの壁の強さについても構造安全性の評価の対象することができる。(昭和56年建設省告示第1100号)
また、耐震診断や補強の方法については「木造住宅の耐震診断と補強方法」(発行:(一財)日本建築防災協会)などが参考になる場合もある。 |
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ウ.接道の確保等 |
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建築物の用途、規模等に応じ、一定の接道を確保するほか、工事の内容によっては建ぺい率、斜線制限等の形態規制に適合させる必要があるが、連担建築物設計制度等の各種緩和措置(第3
3(1)3.参照)を適切に活用することが望ましい。 |
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4.様々な用途としての活用 |
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ア.住宅 |
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住宅として活用する場合には、居住者のライフスタイルに適合するよう、町家等の良さや特性を踏まえつつ、居住者の住まい方をあらかじめ明らかにした上で改修を行う必要がある。 例えば、続き間型の可変性の高い間取りや各室の伝統的しつらえなどの原型を活かした改修のほか、リビング・ダイニングと一体化したキッチンやプライバシーを確保した個室への改修上下階を二世帯で区分し又は、庭等の奥に離れを設けるなどの2世帯住居とする改修など、様々なパターンの中から、居住者の住まい方に適合した方法を選択することが望ましい。 |
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イ.併用住宅 |
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町家等はもともと併用住宅であった場合も多く、原型の空間を活かした改修を行うことが望ましい。 例えば、店舗部分は、一般的な店舗のほか、空間の良さを活用したアトリエやSOHO等に利用することも考えられる。また、住宅と店舗等との間は、通り庭を介した用途の分離や上下階による分離の方法が考えられる。 |
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ウ.商業施設 |
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物販店舗、飲食店舗等の商業施設として活用するに当たっては、具体的用途や営業形態により、町家等の原型を活かした改修から内部空間の全面改修等幅広い改修内容の選択が考えられるため、町家等の良さや特性を踏まえて、その営業形態を明らかにした上で改修を行うことが望ましい。 例えば、通り庭や土間、座敷を店舗等の空間として活かしたり、平土間にする改修が考えられる。また、2階を店舗等として利用する場合、吹き抜けによる上下階の高さや小屋裏の高さを活かした空間づくりも考えられる。なお、2階を店舗空間とする場合は、床の安全性や階段の勾配などに留意することが望ましい。 |
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エ.地域交流施設 |
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地域コミュニティの拠点となる地域交流センターや観光情報センターなどとして活用することが考えられる。この場合、来訪者向けの情報スペースや集会室を設けることが考えられる。 |
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オ.共同住宅 |
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一定の要件を満たすものについては、共同住宅やグループホームとして活用することも考えられる。 この場合、通り庭を共用部分としたり、各戸を通り庭や中庭に面して配置することも考えられる。 |