一世代一住宅という考え方が、供給者にも消費者にもしみついてしまっている日本の住宅の寿命は、国際的にみて長くありません。一世代一住宅という考え方の歪みは環境問題にも関わりますが、何より問題なのは、住まい手にとってライフステージに合わせた住宅選択の余地がないということです。
高齢化社会になり、これまでよりも多くのライフステージが存在するようになりました。また、現役世代は雇用が不安定になりよりよい仕事を求めて国内外を移動していくことが必要になってきました。
しかし、取得した住宅を処分して同様の価値を持つ住宅を求めることは、現在の日本では非常に難しいことです。住宅の市場価値が短期間で下がってしまい、ライフステージに合わせて売却をしていくと資産が大幅に減ってしまうからです。また、住み替えようにも市場には流通している住宅が少なく選択肢がありません。この2つは原因と結果が負のスパイラルになってしまっているのです。
たとえば英国では、年間の新築戸数は日本に比べてかなり少ないのですが、不動産流通量は非常に多くなっています。英国の町並みは長い間変わらないからずっと同じ人が住んでいるように思うかもしれませんが、実は住人はかなり流動しているわけです。
実際英国人に聞いてみると、ほとんどの人が7〜8年に1度は住み替えるか、大がかりなリフォームをしているようですし、住み替えしても資産は目減りせず、それまでとほぼ同等の価値の住宅を見つけることができているようです。
日本の場合は、一世代一住宅で同じ家族が住み続けてはいても住宅は建て替えられ、長年かけて培われた居心地のよい町並みは破壊されていく傾向にあります。
日本においても、ライフステージに合わせた選択肢が用意され、できれば資産価値も増やしていける仕組みが市場の中で用意されるべきだと思っています。超長期住宅は、単に住宅を長持ちさせることが目的なのではなく、多世代にわたって住み継がれることができるよう、長期に耐える住宅を増やしていくことが真の目的なのです。